Vol.11 熊谷 博さん
熊 谷 博(くまがい ひろし)さん
NPOジャパンハーブソサエティー認定ハーブスペシャリスト(育苗・栽培)
NPOジャパンハーブソサエティー参与(前理事長)
香り&ハーブ・アールグレイ代表
アールグレイ・ハーブスクール(中級指導者養成校)
株式会社日本ネイチャーセンター代表取締役
http://www.earl.co.jp
Q1ハーブとの出会いと思い出を教えてください
A ハーブとの出会いは、37年前、100坪の家庭菜園をやり始めたとき『農薬を使わない野菜づくり』(徳野雅仁著)という本の中にタイムやセージなどの育て方が載っていました。「この野菜はなんだろう」ということから、それらを育て始めたのがハーブとの出会いでした。当時は香辛野菜と呼ばれ、その頃は苗を入手するのも難しく、種も海外からと限られており、今のように簡単に栽培できない時代でした。
独立する前の仕事では海外へ行く機会も多く、海外へ行くたびに少しずつハーブが身近になってきました。それが後のハーブ専門店開業へとつながったのではと思っています。
花ざかりのアールグレイ農園
Q2ハーブの好きなところはどんなところですか?
A これは会員皆さんもそうでしょうが“人の暮らしや生活に役立つ”というところではないでしょうか。ハーブのある暮らしは、こころを豊かにしてくれて、人に対しても、環境に対してもやさしい気持ちを育み、人生に彩りを添えてくれる素晴らしいものです。
25年間「アールグレイ」というハーブ専門店を営んできましたが、昨年閉店するまで一度も「いやだなぁ」と思ったことはありません。毎日シャッターを開けるのが楽しみでワクワクしていました。小さな店でしたが、ハーブを通じて多くのみなさまへ喜びと笑顔を伝えられることができ、幸せでした。それだけハーブの魅力はあるということです。
Q3ハーブをビジネスとして成功していく秘訣はありますか?
A 成功していく秘訣というものはないと思います。
総論的な話は誌面が足りませんから、会員が取り組める二つのアプローチを具体的に述べます。
1つ目のアプローチは資格を活かす方法。JHSインストラクターの資格を取って、しばらくいろいろなところで活動します。力がついてきて自信が出てくると資格を活かして実益をということになり、スクールをやってみたいなと思いますが、なかなかハードルは高く、ほとんどの方は一歩を踏み出せません。
まずは卒業した養成校の先生へ相談してみましょう。あるいはJHSスクール委員会へ相談してスクール運営のノウハウをアドバイスしてもらいましょう。同時に生徒2~5名くらいで運営している他のスクールへ体験、見学をし、スクールとはどのようなものかを理解しイメージしましょう。そうして具体的にやれそうだと思ったら、勇気をもって一歩踏み出して下さい。
最初から多くの難題にぶつかります。生徒はそんなに簡単に集まりません。3年くらいは0かもしれません。その間は地域のイベント、カルチャー関係、行政へボランティア等で積極的に実績を作りましょう。スクールを開設する前から「私はこんなことをしています」をSNS、ブログ、HPでわかりやすく絶えず情報発信を続けます。その間に知られてきて、少しずつ生徒も集まり始めます。
JHSのカリキュラムは広い範囲に亘っているため、苦手な分野は同期生や先生に助けてもらいます。教材などそろえることや、実習が大変な料理、栽培などは工夫して取り組んでください。こまごまとした事務的なことは山のようにありますから経験者から教えてもらいます。
スクールで教えることは一部分であり、指導者はバックグラウンドに何十倍の知識・経験・技術を蓄積していなければ生徒さんへハーブの素晴らしさ、感動を伝えることができません。そのため指導者は生涯、勉強、研究を続けていかなければなりません。そうした姿勢がスクールの魅力につながり、生徒は自然と集まることになります。大変ですがまずは5名を目標に、それ以上になれば、カルチャーとしてビジネスは第一段階を越えたことになります。そして10年間、地道に続けると、その道のプロとしてようやく認められることになります。
長文になりましたが、ノウハウは膨大にありますから、分からないことがありましたら、スクール委員会等、もちろん私へでも構いませんのでお尋ねてくださいね。
2つ目のアプローチ、こちらはビジネスの本流、起業となります。自分の作品や製品を販売したい、カフェ等でハーブティーやスイーツを提供したい、ハーブ専門店をやりたい、アロマ、トリートメントのサロンを開きたい、イベントやツアーを企画して仕事をしたい等々、夢は広がります。こちらは資金力も必要ですし、別な能力も要求されますから、まずは市町村の起業セミナーや商工会議所等の起業塾の受講が第一歩となります。
アールグレイではかつて11期、起業塾(1期15ヵ月)を行い好評でした。卒業生はサロンから株式会社化した方、雑貨店、アロマショップ、パン屋、ヒーリングサロン、プランナー、ナーセリー(苗の販売)、自宅でカフェ、教室をと多方面に広がりました。
ハーブとビジネスをマッチングさせるのは意外と難しいものですが、やりがいもあります。
Q4JHS会員になって良かったと思う事を教えてください。
A JHSの会員になったのは当時常務理事だった武井篤夫氏(現在参与)からスクールを開校してくれないかと頼まれたことでした。そのころアールグレイは県や市、企業からの講座依頼が多く忙しくて、なかなか時間も取れなかったため、お断りしていたのですが、幾度と頼まれるうちに、インストラクターを養成するのも時代の要請かなと思い資格を取り会員になりました。
会員になって良かったことは、一つにはハーブの普及活動に携われたことです。インストラクター養成校を運営し、多くの方に受講していただき、10年で資格取得者は200名以上となりました。そして卒業生たちがさまざまな分野で活躍している姿を見ると嬉しく思い、良かったなと思っています。
二つ目は、全国の会員と知り合うことができたという点です。これで視野が広くなり私にとって大きな財産となりました。そのおかげもあり理事長としてお手伝いができたことです。また全国に28支部を持っている組織は、わが国でいろいろな団体がある中、唯一JHSだけですから、この点は誇っていいと思っています。
Q5現在、どのような活動をしていますか?
A 昨年6月、25年間続けたハーブ専門店を閉じて、惜しまれながら一区切りをつけました。多くの方々に支えられて4半世紀、店を続けられることができてとても感謝しております。現在はWebショップに移行し継続しています。それとJHSとは別のNPO法人2つの仕事、市やガーデン等の公職の仕事も退かせてもらいました。
25年間では、県、市、企業からと講座依頼が続き、またガーデンづくりでは主なものは藤沢市長久保公園都市緑化植物園、東京ガスのガスミュージアム、三浦市ラベンダー街道、茅ヶ崎市美術館、熱海ハーブガーデン、松田山ハーブガーデンなどのハーブ園作り、コンサルティングをしました。
現在、実店舗は閉じ、スクールも休校していますが、今年も横浜市や藤沢市などから、ハーブ講座の依頼を受け、講習会を開催しハーブの普及活動のお手伝いをしています。しかし世代交代、後進に道を譲るということで、数年前から、アールグレイ卒業のインストラクター達を紹介し、できるだけ卒業生に活動の場を提供するようにしています。
Q6今後どのような事をやっていく予定ですか?
A 個人的な活動では、これまでの畑をリセットし薬用ハーブ、花のきれいなハーブに特化した農園(もちろん野菜も)を作り始めています。
第1の人生は港湾というグローバルな仕事をさせてもらいました、第2の人生はハーブでローカルな地域に根差した商いと街の活性化の仕事をして、これからの第3の人生は、かねてよりヘンリー・デビッド・ソローの『森の生活』を実践してみたいことです。湖、近くの森に小さな小屋を建てる計画をしています。その小屋の周りにはハーブと果樹を植え、自然の中に身を置きながら、自然の恵みに感謝し、必要最小限のもので生活していくスタイル、人生に冒険と充実感のあるミニマリストとして生きていきたいと。一方で街での芸術や文化、音楽を楽しむことも忘れないようにします。
年末までにアールグレイのHPをリニューアルし、Webショップは縮小し、かつてのHPのように“ハーブの楽しみ”を中心とした情報発信もしていきたいと考えています。
Q7 これからハーブを学び、指導者になりたい人へアドバイスをお願いします。
A まずは一般論で、すべてに共通していますが、人を好きになるということ、そのためにはコミュニケーション力に意識を置くこと。そして謙虚と誠実さを忘れないようにということです。
ハーブに携わるには、美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性(センス・オブ・ワンダー)を持ち続けてほしいと思います。
具体的なアドバイスは、ハーブは人の生活全般にかかわり繋がっています。まずはその中で自分の得意な分野を見つけ、その分野では誰にも負けないという力をつけ自信を持ってください。同時にオールラウンドに知識、経験、技術などを学び、都度、実践していきましょう。
JHSではインストラクター養成へのしっかりしたステップとカリキュラムが構築されており、認定指導者養成校で正しい知識を学びながら資格を取得できます。全国、養成校の講師も情熱を持って取り組んでいますので、安心して受講し資格を取得し指導者を目指しましょう。
最後に、いつまでもどんなことに対しても好奇心を持ち続けてほしいと思います。
紹介文作成2017年11月11日