Vol.9 山川かずこさん

山川かずこ(氏名やまかわかずこ)さん

現NPO法人いりこクラブ代表理事
四国中央ユネスコ協会理事
日本化粧品技術者会会員
四国中央国際交流協会会員他
元梅錦酒造株式会社取締役
元梅錦ガーデンの運営に関わった

Q1ハーブとの出会いと思い出を教えてください

平成8年に梅錦ガーデンを開園しましたが、その10年前
東京でハーブに出会いました。その頃はヨーロッパの王侯貴族の趣味のような優雅さ、ハイソサエティーなイメージに惹かれて、お茶を買ったりして楽しみました。
しかし、日本人がどう受け入れるかにあまりポイントを置いてなかったので、すぐにブームは去るだろうと感じました。実際そのとおりになりました。
ハーブ園を開園する頃、またブームが起こり始めました。うたい文句は大衆向けでしたが、一部のマニアックな人向けで、10年前と同じように特別なものというイメージでした。
四国発、いや日本発を感じさせるもの、日本人が理解できるもの、不特定多数の人に対しても安全であるものを提供したいと思い、ハーブについて勉強をしました。勉強の方法は、出来る限り機会をみつけて、外国の学術的にしっかりした大学の先生の講義や日本語に翻訳された本を読み、積極的に学びました。
漢方とハーブの違いについて特に関心を持ちましたが、ハーブの源流がエジプトにあると知り、エジプトのハーブを使った生活や方法を学びました。漢方は薬、ハーブは日々の楽しみ、ああ、いいなーと思う気持ちを与えてくれるもの、という結論に達し、まずはティーの研究をしました。
当時、日本にあるお茶に出来る全てのハーブ、輸入乾燥を取り寄せました。飲み比べてみると、同じハーブでも生育地によって味、香りが違うことがわかりました。見た目や色、味を五味に分類して、自分の勘を頼りに混ぜ合わせながら、人が美味しいと思うものを求めて混ぜ合わせていきました。ハーブティーは雰囲気を楽しむものなので、香りが良く、見ても楽しめるように、お湯を注いでから、飲み頃になるまでに花びらが開いて、目で見て驚きが有り、美味しさがあり、癒されるようなものを材料に選びました。
いろいろ試しているうちに、いいブレンドはハーブ自体の香りが良く、それは味のバランスの良さに繋がっているのがわかってきました。
見た目と香りが3分間の間に変化して行く様子を楽しめるハーブティーを5種類考案しました。
梅錦ガーデンのレストランで、メニューにしようと思ったのですが、お客様に提供するとき、機械的にお湯を注いで終わりでは、私が新しいハーブティーの形を作ろうとしていることが伝わりませんでした。私がお客様にサーブして勧めたときと反応が地在ったのです。人に任せることが出来ず、幻のブレンドになってしまいました。

Q2梅錦ガーデンについて教えてください。

ハーブを使った代表的なガーデンスタイルとして、イングリッシュガーデンを作りました。
外国にかぶれたものでなく、日本人が楽しめるガーデンを目指しました。淡路花博にも出店して受賞したり、そこで様々な人との出会いもありました。
私自身は小さなモデルガーデンの展示場として花博などから世界のガーデンを移転して憩いの場所にできたらと思いましたが、オープン当初から一定の期間が経てば閉園を計画に入れていたので、惜しむ声も多かったのですが会社の方針として閉園しました。ハーブ園のハーブはその場所で終わらせる予定でしたが、オリーブや沢山のハーブが、縁あって高知県北川村モネの庭で新しく出来る「光の庭」へ移植され、今も皆様にご覧いただいています。


Q3「レモングラスの休日」について教えてください。

ハーブ園を持つ酒造会社なので、会社の方針で、何かハーブのお酒をということで数種類のハーブの中から日本酒と一番相性のいいレモングラスが選ばれました。これは酒税法ではリキュールに分類されるものになりました。
このリキュールの開発には、当時としては珍しい、ネット使って一般の人たちの意見を取り入れるプロジェクトを立ち上げました。味だけでなく、パッケージやラベルなど全て一般応募のプロジェクトメンバーが開発に関わるという方法を取りましたが、多くの人に参加していただきました。
酒造会社側からの感覚と一般の人の感覚の違いに目を見張ることもありました。
最初は試行錯誤で、あまりにも不味くて、一樽全て捨てたこともありましたが、出来上がったレモングラスの休日は、味を楽しんでいただくだけでなく、ライフスタイルの提案として多くの方に受け入れてもらいました。
しかし、何かを創って販売する、というときに、社員全員が同じ気持ちを持たないと魅力をうまく伝えることはできません。本来のお酒には力が入るのですが、地酒梅錦と違うという顧客からのクレームなどもあり、営業が消極的で、販売数は予想したものよりは伸びませんでしたが、今も、根強いファンのみなさんの間で愛されています。

Q4ハーブの好きなところはどんなところですか?

私はティーから入ったので、お湯が注がれた瞬間からの変化や飲んだあとの気分までを魅力に感じます。

Q5ハーブをビジネスとして成功していく秘訣はありますか?

独り相撲をしないこと。世間の人を巻き込んで意見を訊きながら進めて欲しいです。
迎合するのではなく、みなさんがどう感じているかに常にアンテナを立てて参考にして進めることです。

Q6現在、どのような活動をしていますか?

本社の業務を離れ、個人的な活動を中心にしています。
四国中央市の産業の一つ、いりこを中心とした地域おこしのためのNPO法人いりこクラブの代表理事をしています。また、様々な研究部会やボランティアの活動にも参加しています。

紹介文作成2017年5月16日